2012年8月17日金曜日

20120817_ギリシャから学ぶ教訓

ユーロ危機の引き金となったギリシャの話題がここのところ聞こえてこないので、ひとまず落着いているのかと思ったらそうでもないらしい。

NHKニュースでチラッと見ただけなので正確性に欠けるかもしれないが、観光立国であるギリシャで600件ものホテルなど宿泊施設が閉鎖しているということだ(残念ながらネットで探してもヒットしないのでソースは提示できない)。

まぁ、そのこと自体は想定の範囲内と言える。

確かにギリシャ危機は長年の失政のツケが一気に吹き出したことが大きな要因だろう。しかし、ギリシャ国民が緊縮策を批判してデモや暴動を繰り返している様を見て、ギリシャ政府だけでなく、ギリシャ全体に不信感を抱いたという人は多かったはずだ。そんなギリシャにいま観光に行こうと積極的に思う人は間違いなく少ない。

そのうえ今夏は、ロンドンでオリンピックも行なわれていた。

ヨーロッパ周辺の金持ち連中が、緊縮策にふてくされてサービスが低下してそうなギリシャより、4年に1度のスポーツの祭典を見に行きたいと思うのは当然のことだ。

ニュースではホテルの経営者が、相変わらず国の無策に文句を言っていた。

だが、いまギリシャ国民がやるべきことは、国をあてにすることではない。主要産業である観光業者は、手を組んで徹底的なPRを展開すべきだ。

正直に、
「国が危機に瀕している。自分たちが一生懸命サービスに努めるからぜひギリシャに来て欲しい」
そう、訴えるべきなのだ。

そうすればやがて観光客も戻ってくる。

ほかの産業も息を吹き返す。

政治家や官僚に、恨み、つらみを言いながら、それでも頼ろうとしていてはダメだ。

と、呑気にギリシャのことを眺めている場合ではない。
日本もそろそろ政治家や官僚は見限って、自らの力で困難な局面を打破すべき時かもしれない。

20120817_尖閣諸島不法上陸を見て思う抗議行動作法について

日本が抱えている領土問題は3つある。

北方領土、竹島、尖閣諸島(北千島や南樺太は含めていない)である。
ここのところ日本の政権基盤がしっかりせず、諸外国から好機と見られているためか、3カ所すべてで相手方から日本が攻勢を受けている。

その実態は以下の通りである。

ロシア首相 国後島で強硬姿勢

竹島問題、韓国に共同提訴呼びかけへ

“尖閣”不法上陸に事なかれの野田政権…禍根残す可能性

日本はそれなりに対応しているように見えるが、実はなす術もなく見守っているようなものだ。

しかし、これら領土問題は一朝一夕に解決する問題ではないので、首相や外務大臣が余計なことを言わなければ、それほど大きな影響はないだろう。だからできるだけ彼らには黙っていて欲しい。野田首相は間違っても退陣の花道を飾るためにプーチン大統領と会って、領土問題について話し合おうなどと考えてはいけない。彼では完全に役不足だと私は思っている。

さて、ここからが本題だが、昨日、中国や台湾の活動家が尖閣諸島にやって来て領有権を主張した。そのニュース映像を見て強く感じたことがある。

中国国内はともかく、国際社会ではあのやり方は通用しないだろう。海賊のような風体の男たちが、険しい顔をして、連行されながら尖閣諸島は中国の領土だと怒鳴り声を上げる。

あのようなパフォーマンスをしているかぎり、国際社会では支持を得られないだろう。

怒りを完全にあらわにするというのは、本当に人の顔を醜くしてしまう。どんなに正しいことを主張していたとしても、怒りの表情からは理性を失った愚か者という印象しか伝わってこないのだ。

相手を威嚇するのではなく、何かを訴えかけたり、交渉したりしたいなら、怒りは常に押し殺さなければいけない。

怒りは時として、大きなエネルギー源になるのだが、それはできるだけ表に出さず(ときどきちらっと見せる程度で)内に秘めておくべきものなのだ。

2012年8月16日木曜日

20120816_NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」を見て思ったこと

昨日、NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」という番組を見た。

NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」

番組の検証によれば、1945年8月15日より以前に、終戦という決断をするチャンスが幾度となくあったようだ。

しかし、残念なことに陸軍、海軍、外務省など、決定権を持つ高官がそれぞれの立場で持つ情報を共有できず、さらに自己保身、組織防衛、偏見、先入観、錯誤などの負の要因を乗り越えられず、結局、適切な判断を、適切な時期に導きだすことができなかったということらしい。

結果的に終戦は、広島、長崎への原爆の投下、ソ連の参戦後になり、被害はとてつもなく拡大した。番組タイトル通り「終戦 なぜ早く決められなかったのか」と当時の高官を糾弾したいところだが、番組が先に進むにつれて、別なところへ思いが飛んでいった。

「終戦」とは比べものにならないほど小さなことだが、職を賭(と)した問題(個人的問題としては十分大問題と言えるかもしれないが、私にとっては自分の信念を曲げるほど重大なことではなかった)で信じられない経験をしたことがあるのだ。

かなり以前になる。小さな会社でそこそこのポジションにいた私は、とある問題でオーナー経営者と対立した。私の考えが正しいことは明白だった。事実、オーナーを囲む取り巻き連中でさえ私の意見に賛成していた。しかも問題が取り扱いを間違えれば、会社が傾きかねないほどの重要なことだったので、オーナーの暴走を見過ごすことはできなかった。

ところが、問題をどう扱うか決定する会議において、直前まで賛意を表明していたものまで含め、全員がオーナー側についた。つまり会社の経営陣がのきなみ、会社の存亡ではなく、オーナー経営者におもねることを選んだのだ。

どうやら人間というのは、そういう習性を持つ生き物のようである。

まず最優先されるのは「何が正しいか」ではなく「自分にとって何が正しいか」なのだ。正しい行動をとって会社の危機を救っても、そこに自分がいなければ意味はないということだ。

昨日「終戦 なぜ早く決められなかったのか」を見て、一個人の職業の問題ではなく、国の存亡、数十万という人の命に関わる局面においても、同じような考えがまかり通ると感じ驚いた。

そしてもう一つ。正しいことを言っても、必ずしもそれが役立つわけではないということも感じた。御前会議のときにソ連参戦の可能性があることを、軍部代表が進言したとしたらどうなっていたであろうか。むろん急速に終戦へと事態は進んだかもしれないが、進言した者が他の人から集中攻撃を受けて、権力の座から追放されただけかもしれない(オーナー経営者を敵に回した私がそうだった。まぁ、私の場合はそうなる前に自分からとっとと辞めてしまったのだが)。

まぁ、いまとなってはそこまで検証することは不可能である。

結果がどっちだとしても、自己保身や何やらのために平気で真実を曲げる輩は最低だが、バカ正直に正面突破をはかって玉砕する者も利口とは言えないといまは考えている。

重要な局面では、目的を達成するための柔軟な心と戦略を持つものが必要なのだろう。

そして、そんな人は滅多にいない。

2012年8月15日水曜日

20120815_終戦記念日に思うこと

一年に二度、平素と違う心持ちになる日がある。

正月と終戦記念日。

正月には、新たな希望、自分自身や人間が持つ無限の可能性を感じる。

終戦記念日には、人間の愚かさ、醜さと自分自身の無力を痛感する。

どちらも私にとっては大切な日である。

【追記】
わたしは、戦後生まれ、戦争の実体験は全くない。

2012年8月14日火曜日

20120814_じわじわと広がる脱原発の意志

福島第一原発事故の後、それでも原発は必要だという意見がの多さに正直言って驚いた。

冷静に原発維持派や原発推進派の話を聞けば、電力の安定供給、コスト、エネルギー安全保障など、彼らが心配する気持ちも多少はわかる。

が、どれも絶対的な理由にはなり得ないことを考えれば、最終的には脱原発を可能な限り早期に実現するというところに国民の意志は落着くと見ていた。

事実、菅内閣はその方向に動いていた。

ところが、野田内閣はおそらく官僚と産業界の意向を受けてのことだと思うが、原発の維持・推進へと舵を切ってしまった。

政権にあるものが、
「口ではうまいことを言いながら事を強引に進めてしまえば、原発の今後を維持・推進に持っていくことなんか簡単だ」
と、高をくくっていたのだろう。

大飯原発の再稼働を決定したあたりでは、
「しめしめ、やっぱり権力を持ったものが物事は決められるんだ」
そう言わんばかりの得意げな宰相の顔がテレビに大映しになった。

だが、そんなことがうまくいくはずがない。

ここに来て潮目が変わりつつある。

まず、春頃から続いていた首相官邸前の反原発デモが異例の盛り上がりを見せ、首相も無視することができなくなった。

首相、脱原発の代表と面会へ 抗議拡大で焦り

続いて全国各地で行なわれた意見聴取会や討論型世論調査では、脱原発派が他の意見を圧倒した。

討論型世論調査 「原発ゼロ」へ変わる意見

さらに8月12日に閉め切られたパブリックコメントに8万件を超す意見が集まった。まだ集計が済んでいないが、締め切り間際の駆け込みが多かったことから、脱原発の意見が多いと見られている。

原発意見公募に8万件超 比率3選択肢、専門家会合で検証へ (1/2ページ)
原発意見公募に8万件超 比率3選択肢、専門家会合で検証へ (2/2ページ) 

そして静岡では、中部電力浜岡原発(御前崎市)の再稼働の是非を問う住民投票条例の制定を目指して市民団体が出した署名について、県選挙管理委員会が13日、16万5127人分の署名が有効だったと発表している。

有効署名数は16万5千人超/原発住民投票

明らかにいま、世の中の動きは脱原発に向かっている。

官僚、産業界に巣食う原発維持・推進派の連中は、慌てて政界工作に奔走していることだろう。

お盆休み明け、野田政権がどんな手を打ってくるのか注視しておきたい。

【追記1(20120814)】

NHKニュースを見ていたらこんな世論調査結果のニュースをやっていた。

原発依存“15%程度”が最多

無作為抽出の世論調査だと、やはり真ん中を選択する人がまだ多いようだ。脱原発を望むなら、やはりまだまだ頑張らないと目的達成はおぼつかないようだ。

少し風向きがよくなっただけで、浮かれていてはいけないということだな……。


2012年8月13日月曜日

20120813_ありがたい、ようやく解散総選挙が見えてきた。

ようやく解散総選挙が見えてきた。

今国会中(会期9月8日まで)か、10月解散説が有望であるとの報道が大勢を占めている。

野田政権が発足したのが、昨年9月2日であることを考えると、それ以前の解散はないだろう。自信過剰気味の野田氏が自らの政権が1年も持たずに崩壊することを絶対に容認するはずがないからである(本来は3カ月ほどで崩壊していた方が日本のためにはなったと思う)。

さらに、いま解散すれば総選挙で民主党が惨敗することは必至である。民主党執行部とすれば、できるだけ解散時期を遅くして自党に有利な局面が出てくるのを待ちたいはずである。所属議員の反発もかなり激しいものになるはずだ。

となると、解散は10月と考えるのが妥当だろう。

10月まで待てば、史上最悪の政権がいなくなる。ありがたいことである。

とは言っても、野田政権がいなくなればすべてうまくいくというものでもないことは確かだ。甘い幻想を抱いてはいけない。その後もしばらくは日本の政治的混乱は続くだろうが、さすがに野田政権以下はないだろう。

本命は秋解散=「近いうち」合意で観測-与野党