2012年6月17日日曜日

大飯再稼働によって関西が計画停電に陥る危険性が増大した理由

野田首相が「国民の生活を守るために再起動すべきというのが私の判断」と言い、それに調子を合わせた西川福井県知事と時岡おおい町長が再稼働を容認し、大飯原発は再稼働した。

さて、果たしてこれで本当に今夏の電力需給は改善され、関西圏で計画停電が行われたり、需要が供給を上回ってしまい大停電に見舞われる危険は減少したのだろうか。

確かに大飯再稼働により電力需給がいくぶん改善されることは間違いない。

が、政府が早い段階から「再稼働ありき」という姿勢で物事を進めたため、大飯原発を再稼働したにもかかわらず『計画停電や大停電の危険性は逆に増大』というおかしな事態に陥っていると私は見ている。

福島第一原発事故が起こって以来私たちは、原発のことをいろいろ学び、それがおそろしく厄介なものであることを知った。福島レベルの事故でさえ非常に珍しいものではなく、巨大地震や津波、あるいはテロリストによる攻撃などで、簡単に起きる可能性があることも露呈した。

加えて、事故でなくても小さなトラブルや機器の異常が起きれば原発はすぐ止まってしまうデリケートなものだということも、一旦止まったら点検やら何やらで再稼働まで数週間単位の時間がかかることも知った。

今夏、大飯原発で何らかのトラブルが起こり、再稼働したばかりの3、4号機が停止してしまう可能性は0%ではない。安全のため一旦停止しなければいけない程度の地震がある可能性も0%ではない。

そうなった時はまさしく緊急事態である。

たとえば大飯原発を再稼働させず、節電や供給力の積増し、他電力会社からの融通などを徹底的にやってオールジャパン体制を取っていたとしたら、「みんなでがんばって今夏を乗り切ろう」というモチベーションがもともと高まっているので、追加で火力発電所のトラブルなど多少の不測な事態が起こっても回避できる。

しかし政府が「原発ゼロでもなんとかするぞ」という姿勢をかけらも見せず、再稼働回避のための努力を全くしなかったことで、かなり多くの国民はしらけている。

去年はがんばって節電に努めた人も「熱中症になったらかなわん」とそれほどがんばって節電もしないだろう。工場やオフィスや商店も去年ほどはがんばらないかもしれない。去年は暑がりの私もだいぶエアコンを我慢したが、今年は快適に過ごすつもりだ。

そんな時に大飯原発がトラブルで止まったら……。

野田首相の一番の罪は原発の安全性をないがしろにしたことだが、あえてそこまでして守ろうとした電力の安定供給もかえって脆弱(ぜいじゃく)なものにした可能性があることをご本人は自覚しているのだろうか。

2012年6月11日月曜日

大飯再稼働は決定! で、今夏の節電要請は何%になるのか。

最初に言っておくが、これはデータの裏付けも何もない単なる個人的な予想に過ぎないので軽く流して欲しい。

野田首相が責任を取れるわけないのに「自らの責任で判断」したおかげでどうやら今週中にも大飯原発の再稼働が決定しそうな状況である。

政府の需給検証委員会や関西電力は大飯を再稼働させれば電力は足りると言っている。

需給検証委:「大飯再稼働なら電力足りる」関電管内

当然、大飯原発が再稼働しないことを前提に決定し、関西電力管内15%以上と発表していた政府の節電要請は変更になるはずだ。

夏場の節電対策 正式に決定

さて、何%の節電要請になるだろうか。気になるので自分なりに予想してみた。

「足りると言ってるなら節電なんかしなくていいじゃん」と言いたくなるが、さすがにギリギリではちょっとおっかない。もともと政府は電力不足を若干大げさに言っていたとしても、余裕はできるだけ大きい方がありがたいと考えているに違いない。

本音を言うと、15%のままにしておきたいところだろうが、それでは脱原発派、大飯再稼働反対派から非難を浴びることになる。

そこで政府が狙うのは大飯再稼働の効果を喧伝(けんでん)することができ、電力需給にも余裕を持たせることができるギリギリのラインだ。

おそらく5〜8%というところに落ち着かせるだろう。

最初にも書いたが、これはあくまでも個人的な予想に過ぎないので軽く流してほしい。

2012年6月9日土曜日

いまのままでは冤罪事件はなくならない

東京電力OL殺人事件の再審が決定した。

無期懲役で収監されていた被疑者の釈放も認められた。現段階ではまだ、無罪が確定したわけではない。しかし、マイナリ氏は事件当時不法滞在で日本に留まっていたため、釈放されるとすぐに母国ネパールに強制送還されるという。

実質は無罪放免であり、警察、検察、裁判所が間違いを犯したと判断されたわけだ。そして事件は迷宮入りとなってしまう。

このような事件のニュースを見るたびにいつも思うことがある。

捜査や裁判に関係する人たちはいったい何を使命としているのだろうか?

真実を見つけ出し、公平な裁きを行うことではないのだろうか……。

残念ながら警察、検察、裁判所、弁護士といった法に携わる人々から、真実や公平な裁きというものに対する真摯な姿勢をまったく感じることができない。

たぶんそれは個人個人の関係者が悪いわけではなく、法を巡るシステム自体が齟齬(そご)をきたしているのだと思う。

いまのままでは日本では冤罪事件はなくならないし、公平な裁きも期待できない。

だから妙なことに巻き込まれないように充分気をつけよう。

2012年6月3日日曜日

原発再稼働第1ラウンド決着

再稼働推進政府連盟(政府、経済界、電力会社:私が勝手に命名した)vs 再稼働反対関西連合(大阪府・市、京都府、滋賀県:こちらも私が勝手に命名した)による「原発再稼働抗争」第1ラウンドは、政府側の勝利で決着がついた。

世の中では、再稼働反対関西連合のボス、橋下徹大阪市長が「ギリギリでひよった」とか「最初から出来レースだったんだ」とか言って非難したり、失望したりする向きが多いようだ。

しかし、私の見方は少々違う。
実際のところは、本人が記者会見などで認めてるように文字通りの完敗だったのだろうと受け取っている。

まぁ、あくまでも私個人の想像の域を出ないが、再稼働反対関西連合は関西電力の協力を得て徹底的な対策を講じれば、大飯原発を再稼働させなくても今夏を乗り切れるという感触を得ていたはずだ。

ただ、あくまでもそれは、政府、経済界、電力会社、一般大衆のすべてが協力するというオールジャパン体制が整わなければ実現できない。

ところが肝心の野田政権の判断は「大飯再稼働」だった。政府の後ろ盾が無ければ、オールジャパン体制は整わず需給はかぎりなく逼迫(ひっぱく)する。一方、政府を見方につけた関西電力は「大飯再稼働はできる」と勢いづいた。政府と関西電力、そして利害が一致する経済界が手を組んで、再稼働反対関西連合を追い詰めた。

方法は簡単だ。

「再稼働反対関西連合が再稼働を認めないため大飯を動かせません。このままでは計画停電を実施せざるを得ない状況です(言葉にしているわけではないが橋下市長や京都の山田知事、滋賀の嘉田知事のせいだと言っているようなもの)。

上記のような意味合いのことを巧妙な言い回しであちこちで吹聴すればいいだけだ。そうすればメディアが勝手に拡散してくれ、再稼働反対関西連合への風当たりは強まる。

あれほど鼻息の荒かった再稼働反対関西連合がここ数週間で急速にトーンダウンしたのは、おそらくそのような事情があったのだろう。

歯切れよくわかりやすい物言いで大衆の支持を集めている橋下市長も、政府と経済界、電力会社連合の圧倒的なパワーにはかなわなかったということだ。

だが、今回橋下市長が己の負けを認め、野田政権の成果を一部認めたことで私は、橋下市長を改めて評価するつもりになっている。

経験したことがある人ならわかるはずだが、己の負けを認めるというのはなかなかできることではない。しかも橋下市長は「再稼働に反対である」と突っ張り通した方が自分の人気を維持するためには有利であることをわかっていたはずだ。

その橋下市長がぶざまに敗北を認めた。おまけに野田政権の成果を一部認めることまでした。おそらく多くの人ががっかりしたことだろう。

しかし橋下市長は、ただ、自分の流儀を押し通しただけなのだ。

私たちは誰でも自分なりの哲学というものを持っていて、基本的にはそれに従って生きている。優柔不断と言われるタイプの人間は、その時々、状況によって内なる哲学を簡単に書き変えることができる。正反対の頑固者と言われるタイプの人間は、どんな状況に立たされても容易に内なる哲学を書き変えることができない。橋下市長は良くも悪くも後者タイプなのだ。

つまり、今回の再稼働反対関西連合の負けっぷりは、橋下市長としては言い逃れることが許されないほどの負けっぷりだったということだろう。だから自分にとってマイナスになることがわかっていたが、自分自身の心の平衡を保つためにあえて敗北宣言をしたのだ。

だが、橋下市長は敗北宣言をしながらも、第2ラウンドに向けての布石を打っていた。それは今回の再稼働が「暫定的」なものであり、政府の安全宣言も「暫定的」なものであるという言質を細野環境相からとったという事実のしつこいほどの確認だ。

橋下市長は潔く自分の敗北を認められる哲学を持ち、負けながらも次の戦いへの布石を打つしたたかさも併せ持っている。政治家に必要な資質を十分に兼ね備えているような気がしてきた。私が橋下市長を評価しなおした所以(ゆえん)だ。

今秋、残暑が終わった頃、原発再稼働問題第2ラウンドが勃発する。その時は今回のように再稼働推進政府連盟の圧勝というわけにはいかないだろう。確かに政府(政治家、官僚、大企業)の権力は圧倒的だが、世の中にはそれを上回る権力がある。

大衆のパワーだ。

必ず橋下市長は用意周到にそのパワーを利用するだろう。それに成功すれば野田政権ごときは粉々に吹っ飛ぶことになる。

原発問題を巡る本当の戦いは今秋である。