2012年5月13日日曜日

他人を第一印象で判断することの愚かさ

その昔私は、かなり短気だった。

と言っても、暴力的だったわけではないが仕事上のことでよく激高したものだ。

ただし激高すると言っても、心の内に冷静なところは残っていて、ちゃんと勝ち負けの計算だけはしていた。

「オレのほうが有利だな」

そう判断した場合は、部下や下請けだけでなく先輩や上司でも遠慮なくけちょんけちょんにして悦に入っていた(さすがに顧客をけちょんけちょんにしたことはないが……)。

「ありゃ、オレもしかして無茶なこと言ってる?」

なんてときは頭の中で「やべえぞ、やべえぞ」と警報が鳴り響くため、抜き差しならない状態に至る前にかろうじて撤退することができていた。

まぁ、そんなわけだからしばらく前までは、けっこうピリピリした感じのあるオヤジだったわけだ。おかげで若い頃からあまり軽く見られることはなかった。一方、相手に無用な警戒心を持たれるという欠点はあったが、困るというほどのことでもなかった。

だが、数年前から少々事情が変わってきた。

なぜかあまり頭に血が上ることがなくなってきたのだ(むろん腹を立てることはあるが激高するようなことはもうほとんどない)。と、同時に身につけていたピリピリした感じもどうやら消えてしまったらしい。

そうするととたんに……あちこちで未経験の出来事にでくわすようになった。

道を歩いていてベビーカーにどつかれたり、スーパーのレジの行列でオバさんに割り込まれたり……。

どうも世の中には穏やかそうな親父には何をしてもいいという暗黙の了解があるらしい。前述したようにそれで頭に血が上ったりはしないがさすがに少しムッとする。それにこういうふざけた連中を野放しにしておくのは社会にとって好ましくない。ということで最近はその手の無礼者はその都度きっちり退治することにしている。

まぁ、ベビーカーやレジなどでの問題はその程度でいいだろうと思っている。問題は次のようなケースだ。

とある会合ではじめてあった人と名刺交換したとする。こちらは表面上はただの参加者のように振る舞っているが、実質は会合の中心メンバーである。名刺交換した相手は会合に初参加した方で、場合によってはこれから中心メンバーへと育っていく能力を持ち合わせている人かもしれない。

会合で私がわざと目立った行動をとらないようにしていたとしよう。すると初対面のその人があからさまに私を小馬鹿にした態度をとったりすることがあるのだ。あるいは後日連絡をとろうとしてもまるっきり相手にされなかったりということもある。

残念なことである。当然その人は目的があって会合に参加したのだろうが、中心メンバーを無視していては何も得ることはできない。参加者をよく知らない会合では、誰とでも丁寧に対応しておくべきなのだ。

人を自分の勝手な思い込みで判断すると、ベビーカーやレジの人のように思わぬ反撃にあったり、せっかくのビジネスチャンスを失うことになる。

人を第一印象で判断するという愚かな行為はやめよう。

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