2013年12月9日月曜日

最もわかりやすい「特定秘密保護法」(1)特定秘密保護法は悪法なのか

特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)」は悪法なのか?


朝日新聞や多くの知識人と言われる人たちがこぞって反対した「特定秘密保護法」だが(筆者も現行の内容には強く反対という立場である)、果してそれほど悪法なのかどうか、いま一度、冷静かつ客観的(← できるだけね)にしっかりと考えてみたい。

特定秘密保護法のメリットはなんだろう?


【メリット1:守るべき機密がしっかりと守られるようになる】
国には、国民にも一時的に隠しておかなければいけない機密が存在することに異を唱える人はあまりいないだろう。それを保護する法律ができたということは、いままで以上に大切な機密はしっかりと守られることになる。したがって、日本の防衛力(テロ対策も含む)はより強化されるだろう。

【メリット2:良好な関係にある友好国との情報共有がより行ないやすくなる】
日本がスパイ天国であったかどうかは別として、日本と共有したい情報を持つ友好国は、より安心して機密情報を日本と共有できるようになる。その結果、日本の防衛力(テロ対策も含む)はこのことによってもより強化されるだろう。

つまり特定秘密保護法ができたことによって、日本の安全性はより高まることになる。これはほぼすべての人にとって望ましいことだと思う。


これはメリット、デメリット?


【その1:米国(その他の友好国)との関係がより強固なものとなる】
安倍政権はいま、特定秘密保護法と前後して、武器輸出三原則や集団的自衛権の見直し、原発のベース電源化などに着手している。特定秘密保護法が成立したいま、これらを実施することにより日本は、ロボット兵器や化学兵器の開発、情報技術を利用したスパイ行為、核関連技術の開発、海外での戦闘行為などを米国やその他の友好国と共に、国民に詳細を知らせることなく実行できるようになる。むろん日本の先端技術を持つ企業を巻き込むこともできる。もしかするとこれは、経済的には日本にメリットをもたらすのかもしれない。だが、そのような行為は絶対に受け入れられないという人々も多いだろう(筆者の立場は後者である)。また、メリットのところで日本の安全性が高まると書いたが、今後の世界情勢によっては米国とその友好国の安全性がテロリストなどによって脅かされる可能性が高まることは否定できない。米国との関係が緊密になればなるほどテロリストの脅威は増すことになるのかもしれない。

【その2:米中の接近を阻むことができる】
中国はいま、米国との関係を良好なものとし、アジアにおける自らの覇権をより強固にしていきたいと考えている。「その1」で書いたように日米関係がより緊密なものになることによって、その中国のもくろみは崩れる。これは一見、日本にとってメリットであるように思えるが、中国にとってはますます日本が邪魔ものとしての存在感を増すことになる。対中国外交を考える時、これがメリットなのかどうかは疑問である。

特定秘密保護法のデメリットはなんだろう?


【デメリット1:恣意的な運用を防ぐ手立てがない】
最大のデメリットはなんといっても恣意的な運用を防ぐ手立てがないことである。そのうえ国民は、何が秘密になっているかを知ることさえできない。もちろん官僚たちがなんでもかんでも秘密にするわけではないだろう。しかし、都合の悪いこと、組織のミス、幹部のミスなどはまちがいなく秘密とされるだろう。これは性善説、性悪説の問題ではない。人間の心は弱いという観点に立ってものごとは考えなければいけない。このようなすこぶるあいまいな法律をつくれば、機密でもなんでもないたんなる不都合な情報が秘密指定されてしまうことは確実である。むろん、私が事務次官クラスの官僚なら都合の悪いことはすべて秘密にする。

【デメリット2:秘密にできる期間が長く、闇から闇に葬られる可能性がある】
特定秘密保護法では、5年、30年、60年という期限が設けられているが、内容によっては永久に秘密にしておけるという抜け道も用意されている。国の情報はどんなものでも最終的には国民のものである。しかも長期間秘密にしておきたい情報は、必然的に重要情報に決まっている。それを闇から闇へ葬ることができるというのは明らかに大きなデメリットである。

さて残念なことに、法律はすでに成立してしまった。だが、冷静に考えればこの法律にはメリットも十分にある。ということはデメリットの部分をなくせば悪法ではなくなるということだ。

簡単ではないが、あきらめずに働きかけていきたいと思う。



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