2012年12月6日木曜日

20121205_野田内閣の実績(2)

2011年12月16日、野田首相は「原子炉は冷温停止状態に達した。事故そのものは収束に至った」と宣言する。

東日本大震災:福島第1原発事故 「冷温停止状態」 首相「事故は収束」
東京新聞:作業員「政府ウソばかり」

上記の記事を見るとわかるが、何の根拠もなく、また福島には(いや、福島に限らず日本中で、だな)この福島第一原発事故のために苦しんでいる人が残されていることに何の配慮もせず、野田首相は「事故そのものは収束に至った」と宣言した。

当然のことだが、この発言は各方面から激しく批判されたが、そのような批判などどこ吹く風といった風情でついに撤回しないまま現在にいたっている。

その収束宣言からおよそ1年たった現在でも福島の現場は、事故の収束にはほど遠い状態にあると考えている人が大勢いる。そのことからも、あの野田首相の「冷温停止、事故収束」発言は、一国の首相としては看過しがたいほど軽率なものだったということがわかる。

ついでに原発関連の野田内閣の実績についていくつか触れておく。

原発関連で最も大きな野田内閣の決断と言えば「大飯原発の再稼働」だろう。むろん、異論はあるだろうが、私はそう捉えている。なぜならあの大飯原発の再稼働がなければ、原発稼働ゼロのまま夏を乗り切り、世論の流れは脱原発へと大きく傾いたと予想できるからだ。

今夏を節電努力などで乗り越えてきた我々は、事実として原発が1基も動いていなくても、猛暑の夏をなんとかかんとか乗り切れたことを知っている。

大飯原発を再稼働するときに野田首相はこんなことを言った。

「突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人も出ます仕事が成り立たなくなってしまう人もいます。働く場がなくなってしまう人もいます。」
むろん、大停電が起きれば多くの人が迷惑をこうむることは確かだ。医療の現場でもいろいろなトラブルが起きるだろう。しかし今年、電力不足ではなく台風や吹雪により日本各地で突発的に大規模な停電が起きたが、野田首相が言うようなことにはならなかった。

また、こんなことも言っている。
「夏場の短期的な電力需給の問題だけではありません。化石燃料への依存を増やして、電力価格が高騰すれば、ぎりぎりの経営を行っている小売店や中小企業そして、家庭にも影響が及びます。空洞化を加速して雇用の場が失われてしまいます。そのため夏場限定の再稼働では、国民の生活は守れません。」
これは大飯原発のみを再稼働すればそれで済む問題ではない。エネルギー政策全体の問題であって、たった2基の原発を動かしただけでは全く意味をなさない問題なのだ。野田首相はそれを大飯再稼働の問題に矮小(わいしょう)化し、持論に都合よく使ったというわけだ。

そして結局こう結論を出した。
「以上を申し上げた上で、私の考えを総括的に申し上げたいと思います。国民の生活を守るために大飯発電所3、4号機を再起動すべきというのが私の判断であります。」

ようするに野田首相は、日本中の原発がすべて停止するという状況を看過できない産業界、官僚、政治家の圧力に屈し、安全をないがしろにしたのだ。

その後のエネルギー政策(2030年代に原発ゼロを目指す)にも、原子力規制委員会の人員の決定にも、国民の意見はほとんど反映されていない。明らかに野田民主党が進めてきたのは原発推進の政策と言える。

つまり、野田内閣の原発関連の実績は原発推進に賛成する人には多いにあったが、脱原発に賛成する人にとっては負の実績しかないということになる。

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