2013年11月28日木曜日

社会できちんとした人間教育を受けられないと気の毒なことになるという話

私は営業職というわけではないのだが、どういうわけか昔から営業も兼務していた。まぁ、零細企業ではよくある話である。当然、いろいろな顧客のところへ行くわけだが、その客先でいつも感じていたことがある。

それは、人間教育をしっかりやらない会社に入った人は気の毒だな、ということだ。あっ、間違えないで欲しいんだが、私が言っているのは“社員教育”ではなくて“人間教育”である。

普通、従業員を雇う会社なら、大きかろうが小さかろうが会社の仕事をしてもらうための手順や、その会社における最低限のルール、マナーのようなものは教える。そうしないと使いものにならないのでね。ようするにその会社の社員のための教育、つまり社員教育である。だから、この社員教育に関しては、ほとんどの会社がきちんと実行する。

だが、会社の仕事に直接関係ないことまできちんと教えるかどうかは、企業によって大きく異なる。

わかりやすい例をひとつ上げると、たとえばこんな具合だ。零細企業の営業はときどき配達員にも変身する。そうすると、取引先の普段行かない部署などに品物を持っていったりするわけだ。で、ときどきひどい扱いを受けることがある。

「すみません、納品にうかがいましたぁ」と声をかけても、広いオフィスにいる数十名の社員が誰も応対してくれないとかね。
「そこに置いといて」とか、あごで指示されたりね。
最後に「ありがとうございました」と言っても、だ〜れも返事してくれないとかね。

わりと丸の内あたりのでっかいビルにご本社がある、一部上場、超有名会社にこういうケースは見られたりする(そういう会社けっこう何社もあったなぁ)。

思うんだけど、これは社員うんぬんではなくて、人としてどうなの、というレベルの話だ。

誰かが来たら、できるだけお待たせしないのは普通の心遣いだと思う、来たのが誰であっても。まぁ、普通の家なら相手が押し売りかもしれないから、ドア越しの応対でもいいし、のぞき穴からのぞいて、あまりにも怪しい風体だったら無視しても仕方がないこともあるだろう。しかし、オフィスに来た配達員無視ってのは理解できないし、「ありがとうございました」の言葉に「ごくろうさま」のひと言も返せない社員がいたら、私がその部署の上司なら激怒レベルの大ごとだ。

まぁ、これはほんの一例であって、知らず知らずに犯している礼儀知らずや恥ずかしい行ないは他にもたくさん見聞きする。それに最近は、上っ面だけ取り繕っている会社も見かけることが多くなった気がしている(上っ面だけ取り繕ってもメッキはすぐハゲ落ちる)。

ついこの間、初めてお伺いする会社に行って、久し振りに理解不能な応待をされて驚いたのと同時に、そういう“人間教育”をきちんと受けることができないというのは、とても気の毒なことだなぁと思った次第である。